クラウドファンディングでやってはいけない表現集——景品表示法・特商法の落とし穴

クラウドファンディングでやってはいけない表現集——景品表示法・特商法の落とし穴

「日本初」「最安」「効果は実証済み」——クラウドファンディングのページでは、支援を集めたい一心でつい強い言葉を使いたくなります。しかし募集ページも法律上は「広告」として扱われ得るため、景品表示法(優良誤認・有利誤認)や薬機法、特定商取引法の規制対象になり得ます

この記事では、クラウドファンディングで景品表示法などに触れやすいNG表現を「NG→OK言い換え表」で整理し、健康食品・化粧品・家電などカテゴリ別の注意点と公開前チェック手順まで解説します。なお本記事は一般的な注意喚起であり、最終判断は各法令・消費者庁等のガイドライン確認と専門家への相談が必要です。

この記事でわかること
  • クラウドファンディングのページが景品表示法の対象になり得る理由
  • 優良誤認・有利誤認とは何か(判断の考え方)
  • 使いがちな危険表現のNG→OK言い換え表
  • 健康食品・化粧品・家電などカテゴリ別の注意点
  • 特定商取引法で求められる表記と公開前チェック手順
目次

なぜクラウドファンディングのページも景品表示法の対象になり得るのか?

結論から言うと、購入型クラウドファンディングの募集ページは「商品・サービスの内容や取引条件を消費者に示す表示」に当たり得るため、景品表示法の規制対象になり得ます。「応援を募っているだけだから」という理屈は、支援者がリターン(商品)を目当てにお金を払う購入型の実態がある以上、通用しにくいのが実情です。

当機構にも「クラファンページの原稿をプラットフォームの審査に出したら、表現の修正を何度も求められた」という相談が多く寄せられます。Makuake・CAMPFIRE等の各社は掲載基準・審査を設けており、法令に触れるおそれのある表現は掲載前に修正を求められるのが通常です。つまり法令リスクのある原稿は、炎上リスクである前に「そもそも公開できない・スケジュールが遅れる」リスクでもあります。

押さえるべき3つの法令

①景品表示法(優良誤認・有利誤認などの不当表示の禁止)、②薬機法(医薬品等以外での効能効果の標榜制限)、③特定商取引法(通信販売としての表記義務)。購入型クラファンのページは、この3つの観点で必ずセルフチェックする必要があります。

3法令
クラファンページで最低限確認したい法律(景表法・薬機法・特商法)

2類型
景表法の代表的な不当表示(優良誤認・有利誤認)

売上の3%
優良誤認・有利誤認には課徴金制度あり(対象期間の売上額の3%が原則。詳細は消費者庁資料を要確認)

公開前
チェックのタイミング。公開後の修正は信頼低下・返金対応に発展し得る

優良誤認・有利誤認とは?——景品表示法の2大NGを理解する

景品表示法で特に問題になりやすいのが「優良誤認表示」と「有利誤認表示」の2つです。難しく聞こえますが、考え方はシンプルです。

優良誤認表示:品質・性能を実際より良く見せる

商品の品質・規格・性能を、実際より著しく優良であると誤認させる表示です。クラファンでは「試作品段階なのに量産品と同等の性能があるかのように書く」「試験データがないのに『業界最高性能』と書く」が典型例です。「日本初」「世界初」「特許技術」も、客観的に裏付けられなければ優良誤認のリスクがあります。

有利誤認表示:価格・取引条件を実際より有利に見せる

価格や取引条件を、実際より著しく有利であると誤認させる表示です。クラファンで多いのは、一般販売の予定や価格設定に確たる根拠がないまま「一般販売予定価格○円のところ40%OFF」と書くケースです。将来価格を比較対照にした二重価格表示は、その価格で実際に販売する確度が乏しいと有利誤認と判断されるおそれがあります。「最安」も、競合価格を調査・立証できなければ危険です。

判断のキモ:「実際」>「表示」ならセーフ、「表示」>「実際」ならアウトになり得る

表示内容が実際の品質・条件を上回っていないか、という視点で全文を見直すのが基本です。さらに「不実証広告規制」により、消費者庁から効果・性能の根拠資料の提出を求められた場合、合理的な根拠を示せなければ優良誤認と見なされ得る点も重要です。「言い切った者勝ち」ではなく「立証できない表現は書けない」が原則です。

【NG→OK言い換え表】クラファンページで使いがちな危険表現

ここからが本題です。クラウドファンディングの原稿でよく見かける危険表現を、リスクの理由とあわせてNG→OKの言い換え表に整理しました。OK例はあくまで「事実がそうである場合に使える表現」であり、事実の裏付けがなければOK例でも使えない点に注意してください。

NG表現(リスク例)何が問題かOKな言い換え例(事実である場合)
日本初・世界初・業界初客観的裏付けがなければ優良誤認のおそれ。調査範囲も示せない「初」は危険「当社調べ(2026年6月時点、○○市場の主要△社を対象)では同種の製品は確認できませんでした」
最安・最高・No.1・業界随一最上級表現は全数調査等の合理的根拠が必要。出典・調査時点なしはNG「○○調査(調査機関名・時期・対象を明記)で△△部門1位」/最上級を使わず具体的スペックで語る
効果があります・必ず実感できます効果の断定は不実証広告規制の対象になり得る。健康関連なら薬機法にも抵触のおそれ「○○試験で△△という結果が得られました(n=◇、条件を明記)」「使用感には個人差があります」を併記
絶対に壊れません・100%安全「絶対」「100%」の断定は立証不能で優良誤認のおそれ「○○規格の試験に合格しています」「△△時間の耐久試験を実施しました」
一般販売予定価格の40%OFF将来価格を根拠にした二重価格。販売の確度・価格の根拠が乏しいと有利誤認のおそれ「一般販売予定価格は○円を予定しています(変更の可能性があります)。本プロジェクトでは△円で提供します」と予定である旨を明示
今だけ・残りわずか(実態なし)実際は数量・期間の限定がないのに煽ると有利誤認のおそれ「先着○個限定」「○月○日まで」と実際の限定内容を正確に記載し、その通り運用する
芸能人の○○さんも愛用事実でなければ論外。事実でも許諾・広告表示(PR明記)の問題やステマ規制に注意本人の許諾を得た上で、提供の有無・関係性を明示して掲載
売上の一部を寄付します(詳細なし)寄付の割合・先が不明確だと誤認を招くおそれ「支援額の○%を△△(団体名)に寄付します」と具体的に記載
特許技術(出願中なのに)「出願中」と「取得済み」は別物。取得済みと誤認させると優良誤認のおそれ「特許出願中(出願番号○○)」と正確に記載
返金保証(条件を書かない)条件・期間を伏せた保証訴求は有利誤認のおそれ。そもそもクラファンの性質上、返金可否はPF規約との整合も必要保証の条件・期間・手続きを明記し、プラットフォームの規約と矛盾しないことを確認

共通する原則は3つです。①断定しない(「絶対」「必ず」「100%」を使わない)、②根拠を添える(数値・試験・調査は出典と条件をセットで書く)、③予定と確定を区別する(「予定」「見込み」「変更の可能性」を明示する)。この3原則だけで、危険表現の大半は回避し得ます。

薬機法に注意——「効能・効果」を語れるのは医薬品等だけ

健康食品・サプリ・美容機器・化粧品のプロジェクトで最も事故が多いのが薬機法(医薬品医療機器等法)まわりです。ポイントは「医薬品・医薬部外品として承認されていないものは、身体への効能効果を標榜できない」という原則です。景品表示法が「誇大かどうか」を問うのに対し、薬機法は「事実であっても言ってはいけない領域がある」点が決定的に違います

健康食品・サプリで書けないことの例

NG例(事実でも書けないおそれが高い)

「脂肪を燃焼させる」「血糖値を下げる」「免疫力を高める」「アトピーが改善」「痩せる」「疲労が回復する」など、身体の変化・疾病の治療予防を示す表現。ビフォーアフター写真で暗示する手法も同様にリスクがあります。

書き方の方向性

味・原材料・製法・栄養成分の含有量など「モノとしての事実」を語る。「毎日の健康維持を意識する方に」のような一般的な健康維持の範囲にとどめる。機能性表示食品・栄養機能食品として届出・基準適合している場合のみ、届け出た機能性の範囲内で表示する。

化粧品は「56の効能効果の範囲」が目安

化粧品は「化粧品の効能の範囲」として整理された56項目(「肌にうるおいを与える」「肌を整える」等)の範囲内でしか効能を標榜できないとされています。「シワが消える」「シミが治る」はこの範囲を超えるためNGのおそれが高く、「メーキャップ効果により目立たなく見せる」のような物理的効果の説明に言い換えるのが定石です。

カテゴリ別の注意点——健康食品・化粧品・家電・食品でリスクは変わる

同じクラファンでも、カテゴリによって「地雷」の位置が異なります。主要カテゴリごとに注意点を整理します。

カテゴリ特に注意すべき法令・観点典型的な危険パターン
健康食品・サプリ薬機法・健康増進法(誇大表示の禁止)・景表法効能効果の標榜、体験談での効果暗示、「飲むだけで」系の簡便性訴求
化粧品・美容機器薬機法(効能56項目の範囲)・景表法「シワ改善」「美白」など承認区分を超える訴求、ビフォーアフターの過度な演出
家電・ガジェット景表法(性能の優良誤認)・電波法/PSEなどの製品規制試作機の数値を量産品の性能として断定、「世界最小」等の裏付けなし最上級、技適・PSE未取得での販売
食品・飲料食品表示法・景表法・(健康訴求すれば薬機法も)産地・原材料の誤認表示、「無添加」の無限定な強調、健康効果の示唆
ファッション・雑貨景表法・家庭用品品質表示法素材・原産国の誤認、「本革」等の品質誤認、機能性(防水等)の裏付けなし断定

家電・ガジェットで見落とされがちなのが製品規制です。Bluetooth等の無線を使う製品は技適マーク、コンセントに挿す製品はPSEマークが必要で、未取得のまま国内配布すると法令違反になり得ます。海外製品の輸入代理型プロジェクトでは、表現以前に「そもそも配れるのか」の確認が特に重要です。

特定商取引法の表記義務——購入型クラファンは「通信販売」に当たり得る

購入型クラウドファンディングは、金銭を払ってリターン(商品)を受け取る取引の実態から、特定商取引法上の「通信販売」に該当し得ると整理されています。該当する場合、いわゆる「特定商取引法に基づく表記」が必要です。主要プラットフォームでは起案者情報として入力・表示する仕組みが用意されており、審査でも確認されます。

記載が求められる主な項目

①販売業者の氏名(名称)・住所・電話番号、②販売価格(支援額)と送料等の追加費用、③代金の支払時期・方法、④リターンの引渡し時期(お届け予定月)、⑤返品・キャンセルの可否と条件。クラファンは性質上「原則キャンセル不可」の設計が多いため、その旨を明確に書くことが重要です。

特に注意したいのが引渡し時期です。「○月お届け予定」と書いた以上、大幅な遅延時には支援者への説明や返金対応が必要になり得ます。予定時期は保守的に設定し、遅延リスクをリスク&チャレンジ欄で正直に開示するのが、法的にも信頼面でも安全な設計です。

公開前チェックの手順——例:調理家電プロジェクトの場合

最後に、公開前のセルフチェックを具体例で見てみましょう。例:時短調理家電をMakuakeで公開しようとするA社の原稿に、次の表現があったとします。

例:A社の初稿にあった表現

「日本初の○○方式で、調理時間を必ず半分にできます。一般販売価格19,800円のところ、今だけ最安の9,900円(50%OFF)。数量無制限で受付中。特許技術搭載(実際は出願中)。8月お届け確定。」

この短い文章に、ここまで見てきたリスクが5つ以上含まれています。チェック手順に沿って直すと次のようになります。

手順チェック内容A社の修正例
1. 断定語の洗い出し「必ず」「絶対」「100%」「確定」を検索して全て見直す「必ず半分」→「当社試験(○○を△△の条件で調理)では最大49%短縮」。「8月お届け確定」→「8月お届け予定(遅延の可能性があります)」
2. 最上級・「初」の根拠確認「日本初」「最安」等に調査の裏付けがあるか。なければ削除か限定付きに「日本初」→「当社調べ(2026年6月、国内主要ECの同種製品を対象)では確認できない方式」。「最安」→削除
3. 価格表示の整合比較対照価格(一般販売予定価格)の根拠と「予定」の明示「一般販売予定価格19,800円(変更の可能性あり)。本プロジェクトでは9,900円」
4. 限定表示の実態確認「今だけ」「限定」が実態と一致しているか数量無制限なのに「今だけ」の煽り→「先着300台」と実際の限定数に修正(実際にその数で締め切る)
5. 知財・認証の正確性特許・技適・PSEの状態を正確に記載「特許技術搭載」→「特許出願中(出願番号明記)」。PSE適合の確認を出荷前工程に追加
6. 特商法項目の確認事業者情報・引渡し時期・キャンセル条件の記載漏れお届け予定月・キャンセル不可の旨・問い合わせ先をページと起案者情報に明記

このチェックは原稿完成後にまとめてやるより、執筆前にNGワードリスト(必ず/絶対/100%/最安/日本初/効果/今だけ 等)を共有しておく方が手戻りが少なくなります。また審査通過はあくまで掲載基準のクリアであり、適法性の保証ではありません。不安が残る表現は、公開前に景表法・薬機法に詳しい専門家(弁護士・薬機法管理者等)のリーガルチェックを受けることをおすすめします。

相談の現場で多いのは「審査で3回差し戻されて公開が1か月遅れた」というケースです。原因のほとんどは断定語と裏付けなしの「初・最安」。執筆を始める前にNGワードリストをチームで共有しておくだけで、審査の往復はかなり減らせますよ。

よくある質問(FAQ)

クラウドファンディングは「販売」ではなく「支援」だから、景品表示法は関係ないのでは?

購入型クラファンは、支援の対価としてリターン(商品)を受け取る取引の実態があるため、募集ページの記載は商品の「表示」として景品表示法の対象になり得ます。また特定商取引法上の通信販売に該当し得るとも整理されています。「支援だから広告規制の外」という理解は危険です。

「日本初」「世界初」は絶対に使えないのですか?

一律に禁止ではありませんが、客観的な調査による裏付けが必要です。調査の時点・範囲・方法を示せない「初」は優良誤認のリスクがあります。使う場合は「当社調べ(時期・対象を明記)」を添え、調査記録を保管しておくのが安全です。裏付けが用意できなければ、具体的な特徴の説明に言い換える方が確実です。

実際に体験したお客様の声(体験談)なら、効果を書いてもいいですか?

体験談の形でも、全体として効果を保証・断定する印象を与えれば優良誤認や薬機法違反のリスクは残ります。特に健康食品・化粧品で身体の変化を語る体験談は危険です。掲載する場合は事実の範囲にとどめ、「個人の感想です」と書けば免責されるわけではない点に注意してください。

「一般販売予定価格の○%OFF」という表示はどこまで許されますか?

将来の販売価格を比較対照にする場合、その価格で販売する具体的な予定・根拠が必要とされます。予定が不確実なのに割引率だけを強調すると有利誤認のおそれがあります。「予定価格であり変更の可能性がある」旨を明示し、プロジェクト終了後に実際の販売価格が大きく乖離しないよう運用することが重要です。

プラットフォームの審査に通れば法的にも問題ないと考えてよいですか?

いいえ。審査は各プラットフォームの掲載基準の確認であり、適法性を保証するものではありません。法令遵守の責任は起案者自身にあります。健康・美容系や高額プロジェクトなど、リスクの高い案件は公開前に専門家のリーガルチェックを受けることを推奨します。

まとめ:断定を避け、根拠を添え、予定と確定を分ける

クラウドファンディングの募集ページは、購入型であれば景品表示法・薬機法・特定商取引法の観点でのチェックが不可欠です。押さえるべき原則は、①「必ず・絶対・100%・効果があります」といった断定表現を使わない、②「日本初・最安・No.1」などの最上級・「初」表現は調査の裏付けとセットでのみ使う、③価格・お届け時期などの取引条件は「予定」と「確定」を区別して正直に書く、④健康食品・化粧品は薬機法により「事実でも書けない領域」があると理解する、⑤特商法の表記項目(事業者情報・引渡し時期・キャンセル条件)を漏れなく記載する、の5点です。強い言葉に頼らなくても、根拠のある具体的な事実と正直なリスク開示は支援者の信頼を高め、結果的に支援率にもプラスに働き得ます。本記事は一般的な情報提供であり、個別の表現の適法性は消費者庁・厚生労働省等の最新ガイドラインの確認と、弁護士等の専門家への相談のうえで最終判断してください。

一般社団法人 中小企業集客支援機構では、クラウドファンディングの募集ページ設計・ライティングから、景品表示法・薬機法・特定商取引法の観点での表現セルフチェック支援まで、中小企業の挑戦を伴走支援しています。公開前の表現チェックに不安がある方は、お気軽にご相談ください。

この記事の運営・監修

一般社団法人 中小企業集客支援機構(本部:大阪市都島区)

「埋もれた価値を、社会の力へ」を理念に、中小企業・スタートアップのマーケティングを支援する非営利団体です。広告運用(Google/Meta/LINE)、SEO・コンテンツマーケティング、クラウドファンディング支援、EC・D2C支援を主な領域とし、全国の事業者の集客を伴走支援しています。

本記事は、当機構に寄せられる相談事例と支援現場での知見をもとに構成しています。制度・各社サービスの仕様は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトをご確認ください。

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この記事を書いた人

■監修・運営
一般社団法人 中小企業集客支援機構

■主な領域
・広告運用(Meta / Google / LINE)
・SEO / コンテンツマーケティング
・クラウドファンディング支援
・EC / D2C支援

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