競合と同じ言葉になっていないか?差別化できる言葉の同質化診断法

競合と同じ言葉になっていないか?差別化できる言葉の同質化診断法

「地域密着」「親身な対応」「高品質なサービス」「実績多数」「お客様第一」——自社サイトのトップページに、この5つのうちいくつ書かれているでしょうか。どれも嘘ではないし、実際にそのとおり誠実に仕事をしている。それなのに問い合わせが増えない、相見積もりで負ける、価格の話ばかりになる。そんな悩みを抱える中小企業は少なくありません。原因は商品やサービスの質ではなく、「言葉」が競合とまったく同じになっていることにあるケースが非常に多いのです。

結論からお伝えします。競合3社のサイトと自社の文言を横に並べて比べれば、同質化は30分で診断できます。さらに「自社名を隠しても文章が成立するか」というテストを行えば、差別化できていない言葉を機械的にあぶり出せます。本記事では、この2つの診断法の具体的な手順と、あぶり出した言葉を「具体・限定・数字・宣言」の4技法で書き換える方法、そして継続運用のための診断シートの使い方までを解説します。

この記事でわかること
  • 「どこにでもある言葉」が並ぶと選ばれなくなる構造的な理由
  • 要注意の同質化ワード一覧と、言い換えの方向性
  • 競合3社と自社の文言を並べる「同質化診断」の5ステップ
  • 「自社名を隠しても成立する文」テストのやり方と判定基準
  • 差別化の言葉を作る4技法(具体・限定・数字・宣言)
  • 診断シートを使った四半期ごとの見直し運用
目次

なぜ「どこにでもある言葉」では選ばれないのか?

BtoBでもBtoCでも、今の見込み客は問い合わせの前に複数社のサイトを見比べるのが当たり前になっています。このとき起きているのは「比較」です。そして比較の材料になるのは、見込み客の画面に表示されている言葉と数字だけ。あなたの会社の現場力や誠実さは、言葉にして書かれていない限り、比較のテーブルに載ることすらできません。

ここで各社が「地域密着」「親身」「高品質」と同じ言葉を掲げていたらどうなるでしょうか。見込み客から見れば全社が同じに見えるため、唯一比較できる要素である「価格」と「立地」だけで選ばれることになりがちです。つまり同質化ワードは、自ら価格競争の土俵に上がる宣言になってしまい得るのです。

同質化ワードが引き起こしやすい3つの損失

  • 価格競争への巻き込まれ:言葉で差がつかない分、値引き幅で選ばれやすくなる
  • 記憶に残らない:5社比較した見込み客が翌日思い出せるのは、独自の言葉があった会社に偏りやすい
  • 紹介が生まれにくい:既存客が第三者に説明するときの「ひとこと」がなく、口コミが広がりにくい
ポイント:問題は「嘘」ではなく「情報量ゼロ」

「親身な対応」と書いて嘘になる会社はほぼありません。だからこそ全社が書けてしまい、書いた瞬間に読者へ伝わる情報量がゼロになります。同質化ワードの罪は誇張ではなく、「何も伝えていないのに何かを伝えた気になれること」にあります。

要注意の同質化ワード一覧——自社サイトに何個ありますか?

まずは代表的な同質化ワードを一覧で確認しましょう。当機構が中小企業のサイト診断でよく見かける頻出語を、読者に伝わる情報量と言い換えの方向性つきで整理しました。自社のトップページ・会社案内・サービスページを開いて、該当数を数えてみてください。

同質化ワード多用されがちな業種読者に伝わる情報言い換えの方向性
地域密着工務店・士業・整体院ほぼゼロ(大半の地元企業が該当)対応エリアと移動時間を数字で示す
親身・寄り添う士業・保険・介護ゼロ(検証不能)対応の具体的な約束事に変える
高品質・こだわり製造・飲食・美容ゼロ(基準が不明)品質基準・工程・検品方法を明示
実績多数・豊富な実績全業種ゼロ(数が不明)件数・年数・継続率を実数で書く
お客様第一・顧客満足全業種ゼロ(全社が主張)顧客のためにやらないことを宣言
安心・信頼不動産・金融・医療系ゼロ(根拠が不在)保証内容・資格・体制を具体化
迅速対応・スピード対応修理・IT・物流ほぼゼロ(速さの基準が不明)「◯時間以内に一次回答」等の約束に
ワンストップ士業・広告・建設低い(範囲が不明)対応範囲を列挙し、やらない領域も書く

目安として、主要ページに同質化ワードが3個以上あれば、次章の競合比較診断を行う価値が高いと考えられます。なお、これらの言葉を「一切使うな」という話ではありません。根拠となる具体的な事実とセットであれば機能します。問題は、根拠なしに同質化ワードだけが並んでいる状態です。

競合3社と自社の文言を並べる「同質化診断」の手順

同質化は自社サイトだけを眺めていても気づけません。毎日見ている自社の言葉は「うちらしい言葉」に見えてしまうからです。そこで、見込み客と同じ目線=競合と横並びの状態を強制的に作るのがこの診断です。所要時間は30〜60分程度です。

比較される競合を3社選ぶ

自分が選びたい競合ではなく、見込み客が実際に相見積もりや比較検討で並べる3社を選びます。迷ったら、主要な商圏・キーワードで検索して上位に出る同業3社、または商談で名前が出たことのある3社にします。

4社分の「強みの文言」を書き出す

自社+競合3社のサイトから、キャッチコピー・「選ばれる理由」・強み紹介の文言をそのまま転記します。対象はトップページ、サービス紹介、会社案内の3ページで十分です。表計算ソフトに1社1列で貼り付けると、次のステップが楽になります。

同じ意味の言葉をグルーピングする

「親身」「寄り添う」「お客様に真摯に」は表現が違っても同じグループです。意味ベースでまとめ、グループごとに何社が使っているかを数えます。

重複率を計算する

自社が使っている強みグループのうち、競合1社以上と重複しているものの割合を出します。計算式は「重複グループ数÷自社の強みグループ数×100」。例:強みを6グループ掲げていて5つが競合と重複なら、重複率は約83%です。

「自社だけの言葉」が残るか確認する

重複を消したあとに残った言葉が、あなたの会社の差別化の種です。1つも残らなければ、後述の4技法でゼロから作ります。残った言葉があれば、それをサイトの最も目立つ位置に昇格させることを検討します。

診断結果の目安

重複率の絶対的な基準はありませんが、当機構では重複率70%以上を「同質化が進んだ状態」、40〜70%を「要改善」、40%未満を「差別化の土台あり」という目安で案内しています。重要なのは数字そのものより、「どのグループが4社全部にあるか(=もう使っても意味がない言葉)」を特定することです。

当機構には「サイトをリニューアルしたのに問い合わせが変わらない」という相談が多く寄せられます。診断してみると、デザインは一新されたのに文言は「地域密着・親身・高品質」のままで、競合3社と横並びにすると4社ともほぼ同文だった、というケースが目立ちます。言葉を変えずに見た目だけ変えても、比較の土俵では同じに見えたままなのです。

「自社名を隠しても成立する文」テストとは?

競合比較と並ぶもう1つの診断が、このマスキングテストです。やり方は簡単で、自社サイトの紹介文から社名を伏せ字にし、そこに競合の社名を入れて読んでみるだけ。競合名を入れても文章がまったく違和感なく成立するなら、その文は差別化に貢献していません。

判定例:成立してしまう文と、成立しない文

【成立してしまう例】「〇〇社は、地域に密着し、お客様一人ひとりに親身に寄り添う高品質なサービスをお届けしています。豊富な実績を活かし、安心のサポート体制でお応えします。」——この〇〇にはどの同業他社の名前を入れても成立します。つまり読者にとって、この文はどの会社を選ぶ理由にもなりません。

【成立しない例】「〇〇社は、従業員30名以下の食品製造業だけを支援対象にしています。初回訪問では契約の話をせず、工場の動線を2時間見せていただくところから始めます。」——ここまで具体的だと、実際にそうしている会社の名前しか入りません。固有の事実が書かれた文は、社名を隠しても「その会社」を指し続けます。これが差別化された言葉の状態です。

実施のコツ

このテストは自分でやると甘くなりがちです。自社をよく知らない人(家族・取引先・入社直後の社員など)に伏せ字の文を見せて「これはどんな会社だと思うか」を聞くと、精度が一気に上がります。「いい会社そう。でも何の会社かわからない」と言われたら、書き換えのサインです。

差別化の言葉はどう作る?——具体・限定・数字・宣言の4技法

診断で同質化ワードをあぶり出したら、次は書き換えです。差別化の言葉は才能やコピーライティングのセンスで作るものではなく、4つの型に自社の事実を流し込む作業で作れます。

具体
抽象語を工程・行動に落とす

限定
対象・範囲を絞って言い切る

数字
実数で検証可能にする

宣言
やらないことを約束する

技法1:具体——「高品質」を工程に翻訳する

「高品質」「こだわり」は、それを支える工程や基準に置き換えます。例:「高品質な金属加工」→「出荷前に溶接部を0.1mm単位で全数検品しています」。読者は工程を知ることで品質を自分で推測でき、他社がまねして書きにくい固有情報になります。

技法2:限定——「幅広く対応」を捨てて絞る

「どんなご要望にも幅広く対応」は、誰の心にも刺さらない言葉になりがちです。例:「幅広い業種に対応」→「従業員30名以下の製造業を専門に支援」。対象を絞ると市場が狭くなるようで怖いものですが、絞った相手からは「うちのための会社だ」と認識されやすくなり、指名の問い合わせにつながり得ます。

技法3:数字——「実績多数」を実数にする

例:「実績多数」→「創業18年・累計支援312社・契約継続率87%(例)」。数字は小さくても構いません。「累計30社」でも「多数」より情報量は上です。件数が少なければ「1社あたり平均24カ月伴走(例)」のように深さの数字に切り替える手もあります。なお、掲載する数字は必ず実測できる事実にしてください。盛った数字は景品表示法上の優良誤認リスクになります。

技法4:宣言——「お客様第一」を行動の約束にする

例:「お客様第一」→「初回相談では商品を売らないと決めています」「工期を守れない案件はお受けしません」。「やらないこと」の宣言は覚悟が伝わるうえ、競合が簡単に追随できません。全社が「やります」を並べる中で、「やりません」は強いコントラストを生みます。

数値シミュレーション:言葉を変えると成果はどう変わり得るか

言葉の書き換えは費用がほぼかからない施策ですが、成果へのインパクトは小さくありません。ここでは架空の例で規模感を試算してみます(数字はすべて例です)。

試算の前提(例)

月間サイト訪問1,000件/現状の問い合わせ率(CVR)0.5%/商談化率40%/成約率30%/平均受注単価50万円と仮定します。

項目書き換え前(例)書き換え後(例:CVR0.5%→0.8%)
月間問い合わせ5件8件
月間商談数(40%)2.0件3.2件
月間成約(30%)0.6件0.96件
月間売上換算30万円48万円
年間売上換算360万円576万円

この例では、CVRが0.3ポイント改善するだけで年間の売上換算で216万円の差が生まれる計算になります。もちろん言葉を変えれば必ずCVRが上がるわけではありませんが、広告費を増やさずに試せる施策としては費用対効果の候補筆頭になり得ます。訪問数を増やす施策(広告・SEO)に投資する前に、まず受け皿の言葉を直すほうが順番として合理的です。

診断シートの使い方——四半期に一度の「言葉の健康診断」

診断は一度やって終わりでは効果が持続しません。競合もサイトを更新しますし、自社も新しいページを増やすたびに同質化ワードが紛れ込みます。そこで、表計算ソフトで簡単な診断シートを作り、定期運用に乗せることをおすすめします。

診断シートの列構成(例)

  • ページ名/URL:診断対象(まずはトップ・サービス・会社案内の3ページから)
  • 現在の文言:強み・キャッチコピーをそのまま転記
  • 同質化ワード該当:本記事の一覧表と照合して◯×を付ける
  • 競合重複:競合3社のうち何社が同じ意味の言葉を使っているか(0〜3)
  • マスキングテスト:社名を隠して成立するか(成立=要書き換え)
  • 書き換え案:4技法(具体・限定・数字・宣言)のどれで書き換えるかと新文言
  • 担当・期限:反映する人と日付を決めて放置を防ぐ

運用の頻度は四半期に1回、1時間で十分です。加えて、新しいページやチラシを作るときには公開前にこのシートの基準(同質化ワード該当・マスキングテスト)を通す、というルールにしておくと、言葉の同質化を仕組みで防げます。担当者が変わっても品質が落ちない点も、シート化の大きな利点です。

よくある質問(FAQ)

同質化ワードはすべて削除すべきですか?

すべて削除する必要はありません。問題なのは根拠なしに同質化ワードだけが並ぶ状態です。「地域密着(=〇〇市内なら最短30分で駆けつけ)」のように、具体的な事実とセットにすれば十分機能します。単独で置かれた同質化ワードから優先的に書き換えましょう。

比較する競合3社はどう選べばいいですか?

自社が意識しているライバルではなく、見込み客が実際に比較検討で並べる会社を選びます。商談で名前が出た会社、主要キーワードの検索で自社の近くに表示される会社が候補です。営業担当に「相見積もりでよく当たる相手」を聞くのも確実な方法です。

小さな会社で、誇れる数字や実績がありません。

数字は大きさより固有性が重要です。「累計20社」「リピート率8割」「1案件に平均40時間」など、小さくても実測の数字は「多数」より強い情報になります。件数で勝てない場合は、深さ(伴走期間・工程数)や速さ(一次回答までの時間)の数字に切り替えるのが有効です。

差別化を強調すると誇大表現にならないか心配です。

本記事の4技法は、いずれも「実際の事実を具体的に書く」方法なので、正しく使えば誇大表現とは逆方向です。注意すべきは「必ず」「100%」「絶対」「地域No.1(根拠なし)」といった断定・最上級表現で、これらは景品表示法の優良誤認にあたるおそれがあります。書くのは検証可能な事実だけ、が原則です。

診断や書き換えはどのくらいの頻度で見直すべきですか?

目安は四半期に1回です。競合のサイト更新や自社の新ページ追加で同質化は徐々に再発するためです。加えて、新サービス開始・料金改定・サイトリニューアルのタイミングでは必ず臨時診断を行うことをおすすめします。1回あたり30分〜1時間で実施できます。

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まとめ:言葉の同質化は、30分の診断から抜け出せる

「地域密着」「親身」「高品質」が悪いのではありません。全社が同じ言葉を使うことで、読者に届く情報量がゼロになっていることが問題です。まずは競合3社と自社の文言を横に並べて重複率を確認し、「自社名を隠しても成立する文」テストで書き換え対象を特定しましょう。書き換えは具体・限定・数字・宣言の4技法に自社の事実を流し込むだけで、特別な文章力は要りません。費用ゼロで始められて、価格競争から一歩抜け出すきっかけになり得る施策です。今日、自社のトップページを開くところから始めてみてください。

「診断してみたが、書き換えの言葉が思いつかない」「自社の強みが自分ではわからない」という方は、当機構の無料相談をご利用ください。第三者の目で貴社の文言を競合と比較し、差別化の言葉づくりを一緒に進めます。

この記事の運営・監修

一般社団法人 中小企業集客支援機構(本部:大阪市都島区)

「埋もれた価値を、社会の力へ」を理念に、中小企業・スタートアップのマーケティングを支援する非営利団体です。広告運用(Google/Meta/LINE)、SEO・コンテンツマーケティング、クラウドファンディング支援、EC・D2C支援を主な領域とし、全国の事業者の集客を伴走支援しています。

本記事は、当機構に寄せられる相談事例と支援現場での知見をもとに構成しています。制度・各社サービスの仕様は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトをご確認ください。

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この記事を書いた人

■監修・運営
一般社団法人 中小企業集客支援機構

■主な領域
・広告運用(Meta / Google / LINE)
・SEO / コンテンツマーケティング
・クラウドファンディング支援
・EC / D2C支援

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