プレスリリースの書き方|創業期こそ効く切り口と構成テンプレ

プレスリリースの書き方|創業期こそ効く切り口と構成テンプレ

「プレスリリースは大企業や上場企業が出すもの。うちみたいな創業したての会社には関係ない」——そう思い込んで、メディア露出のチャンスを最初から捨てていませんか。実際には、新聞・テレビ・Webメディアの記者は毎日ネタを探しており、創業・新規オープン・新サービスという「初めての出来事」は、それ自体がニュースの素材になり得ます。広告費ゼロで第三者に紹介してもらえる手段を、知名度がないという理由だけで使わないのはもったいない選択です。

結論から言うと、プレスリリースは「新規性」を武器にできる創業期こそ掲載につながりやすい施策です。ただし、商品パンフレットのような宣伝文を送っても記者は動きません。記者が拾いやすい「切り口」に自社の事実を翻訳し、決まった構成に沿って書くことが掲載への近道です。この記事では、プレスリリースの書き方を、切り口の見つけ方・構成テンプレ・配信手段・掲載後の二次活用まで、創業期の実務に沿って解説します。

この記事でわかること
  • 創業期がニュースになりやすい理由(新規性の価値)
  • 記者が拾う5つの切り口と、自社ネタの見つけ方チェックリスト
  • そのまま使えるプレスリリースの構成テンプレと書き方の手順
  • 無料・有料・直接送付、3つの配信手段の使い分け
  • 掲載後の二次活用と、掲載されないリリースのNGパターン
目次

なぜプレスリリースは創業期こそ効くのか?

ニュースの中核をなす価値は「新しさ」です。既存企業が同じ商品を売り続けても記事にはなりませんが、創業・開業・新サービスの立ち上げは、その会社にとって一度きりの「初めて」であり、記者にとっては書く理由のある出来事です。つまり創業期は、実績や知名度がない代わりに、ニュース価値の源泉である新規性を最も多く持っている時期だと言えます。この新規性は時間の経過とともに薄れていくため、「もっと実績ができてから」と先延ばしにするほど、かえって取り上げられにくくなる傾向があります。

0円
掲載自体にかかる費用

5つ
記者が拾う切り口の型

A4×1〜2枚
リリースの標準的な分量

1回きり
「創業」の新規性が使える回数

広告と報道では「信頼のされ方」が違う

広告は自分で「うちは良い会社です」と言う行為ですが、報道は第三者であるメディアが「紹介する価値がある」と判断した結果です。読者からの信頼のされ方が根本的に異なり、掲載実績は営業資料・採用・金融機関との折衝など、集客以外の場面でも信用の裏付けとして機能し得ます。実績ゼロの創業期にとって、「メディアに載った」という事実は数少ない客観的な信頼材料になります。

記者が拾う5つの切り口——自社のネタはどれに当てはまるか?

掲載されるかどうかは、文章のうまさよりも「切り口」でほぼ決まります。記者は「読者が読みたいか」で判断するため、自社目線の「新商品を出しました」だけでは不十分です。次の5つの型のどれかに自社の事実を当てはめて、リリースの主役に据えましょう。

切り口記者が反応する理由創業期の例
社会性社会課題の解決は報道の使命に直結する例:規格外野菜を活用しフードロス削減につなげる新業態
地域性地方紙・地域メディアは地元ネタを常に探している例:商店街に20年ぶりの新規出店、地元食材を使う店
意外性常識とのギャップは見出しになりやすい例:元銀行員がパン職人に転身して開業
数字具体的な数字は事実の裏付けになり記事化しやすい例:予約開始3週間で300件、県内初の導入
人の物語創業の動機や苦労は読者の共感を呼ぶ例:家族の介護経験から生まれた見守りサービス

切り口チェックリスト——書く前に自社の事実を棚卸しする

切り口は探すものではなく、すでにある事実の中から「翻訳」するものです。次のチェックリストで自社の棚卸しをしてみてください。2つ以上当てはまる事実を組み合わせると、切り口はさらに強くなります(例:地域性×人の物語=「地元に戻ったUターン創業者」)。

  • その事業は、何らかの社会課題・不便・困りごとの解消につながっているか
  • 「地域で初」「この地域では珍しい」と言える要素はあるか
  • 創業者の前職・経歴と現在の事業に意外なギャップはあるか
  • 件数・個数・年数・割合など、具体的な数字で語れる事実はあるか
  • 創業のきっかけに、個人的な体験や原体験があるか
  • 時事・季節・行政の動き(法改正・補助金・記念日)と結び付けられるか
  • 写真映えする商品・店舗・場面があるか(画像は掲載率を左右する)

プレスリリースの書き方——構成テンプレをこの順でつくる

プレスリリースの書き方には定型があります。記者は毎日大量のリリースに目を通すため、定型から外れた文書は読む前に捨てられやすいのが実情です。凝ったデザインは不要で、A4用紙1〜2枚に次の要素を順番どおり配置すれば形になります。

タイトル(30字前後)をつくる

「切り口+事実」で一文にします。例:「元銀行員が地元商店街にパン店を開業、規格外小麦を活用」。社名や商品名ではなく、記者が見出しにできる事実を先頭に置くのがコツです。

リード文で5W1Hを3行にまとめる

誰が・いつ・どこで・何を・なぜ・どのように。リードだけ読めば全体がわかる状態にします。記者はここまでで読み続けるかを判断します。

本文を「背景→詳細→今後」の順で書く

なぜこの事業を始めたのか(背景・社会的文脈)→サービスの具体的内容・価格・開始日(詳細)→今後の展望、の順です。事実ベースで書き、形容詞での自画自賛は避けます。

代表者コメントと写真を添える

「人の物語」を担うパートです。創業の想いを2〜3文で。写真は記事化の可否を左右するため、人物・商品・店舗の高解像度画像を2〜3点用意します。

会社概要と問い合わせ先を明記する

社名・所在地・代表者・URL・広報担当の電話とメールを末尾に。記者が「すぐ取材を申し込める」状態にしておくことが重要です。

タイトルの型

タイトル=「切り口(社会性/地域性/意外性/数字/物語)」+「客観的な事実」。
NG例:「こだわりの絶品パンを提供する新店舗がオープン」(主観のみ)
OK例:「元銀行員が県産規格外小麦でパン店開業、廃棄予定の小麦を年間○トン活用へ」(意外性+社会性+数字)

配信手段はどう選ぶ?無料・有料・直接送付の使い分け

書き上げたリリースをどう届けるかで、掲載の確率は大きく変わります。手段は大きく3つあり、それぞれ狙えるメディアと費用感が異なります。創業期は「無料+直接送付」の組み合わせから始め、必要に応じて有料配信を足すのが費用対効果の面で現実的です。

配信手段費用感向いているケース注意点
無料の配信先(記者クラブ・自治体/商工会議所経由・無料PRサイト)0円地域ネタ・創業/開業の告知持ち込み方法や様式が地域ごとに異なるため事前確認が要る
有料配信サービス(PR TIMES等)例:1本3万円前後〜。創業間もない企業向けの無料枠を設けるサービスもあるWebメディアへの転載を広く狙う場合、配信網を持たない場合配信=掲載ではない。切り口が弱いと転載のみで終わりやすい
直接送付(編集部・記者個人へメール/持参)0円(手間はかかる)地元紙・業界紙・特定媒体に狙いを絞る場合媒体研究が前提。宛先不明の一斉送信は逆効果になり得る

直接送付のコツ——メディアリストは10媒体で足りる

創業期に全国紙やキー局を狙う必要はありません。地元紙・地域情報サイト・業界専門紙・自治体広報・ローカルテレビなど、自社の切り口と読者層が重なる媒体を10件程度リスト化し、各媒体の「どのコーナーに載りたいか」まで特定して送るほうが、100媒体への一斉送信よりも掲載につながりやすい傾向があります。送付後2〜3日しても反応がなければ、電話で一報を入れると読まれる確率が上がります。しつこい売り込みは禁物ですが、確認の一報は失礼にはあたりません。

数値シミュレーション:掲載1本にどれくらいの価値があるか

プレスリリースの費用対効果を、例を置いて試算してみます。あくまで例示であり、成果は切り口・媒体・業種によって大きく変動しますが、「1本の掲載が何をもたらし得るか」の目安にはなります。

項目例の数値
投下コスト例:有料配信1本3万円+執筆の手間(無料配信なら実費0円)
直接効果例:地域Webメディア1本掲載→サイトアクセス増・指名検索の発生・問い合わせ数件
広告換算の目安例:同等の露出をディスプレイ広告で買う場合の出稿費用と比較して考える(媒体の広告料金表が参考になる)
資産効果「メディア掲載実績」として自社サイト・営業資料・採用ページで半永久的に使える

重要なのは、広告と違って効果が一過性で終わらない点です。掲載記事はWeb上に残り続け、検索した見込み客・取引先・金融機関が目にするたびに信頼を積み増します。仮に問い合わせが数件でも、「第三者に紹介された事実」という資産が残ることまで含めて費用対効果を評価すべきです。

掲載後の二次活用——「取り上げられて終わり」にしない

掲載はゴールではなくスタートです。1本の掲載を次の5つの場面で使い回すことで、効果を何倍にも引き伸ばせます。なお、記事全文の転載は著作権の問題があるため、「○○新聞に掲載されました」という事実の告知とリンク紹介が基本です。ロゴ使用や転載の可否は媒体ごとに規定があるので確認しましょう。

  • 自社サイト:「メディア掲載実績」欄を作り、媒体名と掲載日を並べる(実績ゼロ期の信頼補強に効く)
  • 営業資料・提案書:会社紹介ページに掲載実績を記載し、初対面の信用ハードルを下げる
  • SNS・メルマガ:掲載報告はそれ自体が投稿ネタになり、既存顧客の再認知にもつながる
  • 採用:求人ページや面接で「メディアに注目される事業」であることを示す材料になる
  • 金融機関・補助金:事業の社会性・話題性を示す客観資料として面談や申請書類の説得力を補う

また、一度取材してくれた記者は「次のネタ」も待っています。掲載のお礼とあわせて連絡先を交換し、周年・新商品・実績の節目など、四半期に1回程度のペースで継続的にリリースを出すと、記者との関係が資産化していきます。

やりがちなNG——記者は「広告」を載せない

リリースを出しても掲載されない場合、原因の多くは文章力ではなく「広告と報道の混同」にあります。次のNGパターンに当てはまっていないか、送る前に自己チェックしてください。

当機構にも「配信したのに掲載ゼロだった」という創業期の相談が多く寄せられます。リリースを拝見すると、大半は商品パンフレットの文章をそのまま流用したもので、「誰にとってのニュースか」が抜けています。切り口を社会性や人の物語に組み替えて再送しただけで、地域メディアの取材につながったケースもあります。

掲載されないリリースの典型NG
  • 宣伝臭:「業界最高品質」「圧倒的な」など売り文句が主役。記者は広告の代筆をしない
  • 主観だらけ:「こだわりの」「想いを込めた」ばかりで、裏付けとなる事実・数字がない
  • 自社目線のタイトル:「新商品発売のお知らせ」では読者への価値が伝わらない
  • 情報不足:写真なし・価格や日付が曖昧・問い合わせ先がない(取材のしようがない)
  • タイミング無視:イベント前日の送付など、媒体の制作スケジュールを考慮していない(1〜2週間前が目安)

判断基準はシンプルで、「自分が読者なら、この見出しの記事を読みたいか」です。自社の宣伝ではなく、読者にとってのニュースになっているか。送信前にこの一問を挟むだけで、リリースの質は大きく変わります。

よくある質問(FAQ)

プレスリリースはどのタイミングで出すべきですか?

創業・開業・新サービス開始・○件達成などの「節目」が基本です。特に創業や開業の新規性は一度きりなので、オープンの1〜2週間前を目安に出すのがおすすめです。過ぎてしまった場合も、「開業から3か月で○○」のように数字や変化と組み合わせれば切り口は作れます。

実績がまったくない状態でも出していいのでしょうか?

問題ありません。記者が見ているのは実績の大きさではなくニュース価値です。社会性・地域性・意外性・人の物語は実績ゼロでも語れます。むしろ「なぜ創業したのか」という物語は創業期にしか鮮度がない素材です。

文章が苦手でも書けますか?外注すべきですか?

本記事の構成テンプレどおりに事実を埋めれば、文章力がなくても形になります。リリースに求められるのは名文ではなく、事実の整理と切り口です。外注する場合も、切り口の元になる事実や創業の経緯は自社でしか出せないため、丸投げより「素材出しは自社、整形は外部」の分担が現実的です。

有料配信サービスは使ったほうがいいですか?

目的次第です。Webメディアへの転載を広く狙うなら有料配信は有効ですが、地域紙や業界紙への掲載が目的なら、無料の記者クラブ経由や直接送付のほうが向いています。創業間もない企業向けの無料枠を設けている配信サービスもあるため、まず条件を確認してから判断するとよいでしょう。

送っても掲載されなかったら失敗ですか?

1回で掲載に至らないことは珍しくなく、失敗と捉える必要はありません。切り口を変えて別の節目で再挑戦できますし、書き上げたリリース自体も自社サイトのニュース欄やSNS・営業資料に転用できます。掲載率を上げたいなら、切り口の見直しと送付先の絞り込みから着手してください。

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まとめ:一度きりの「創業の新規性」を逃さない

プレスリリースの書き方の要点は、①創業期の新規性こそ最大のニュース価値であること、②社会性・地域性・意外性・数字・人の物語の5つの切り口に事実を翻訳すること、③タイトル→リード→本文→コメント→会社概要の定型構成を守ること、④無料+直接送付を軸に配信し、⑤掲載後はサイト・営業資料・SNS・採用・金融機関対応へ二次活用すること——の5点です。広告費をかけられない創業期だからこそ、「事実を切り口に変える」だけで使える広報の武器を眠らせずに使い切りましょう。

「自社のネタがどの切り口に当てはまるのかわからない」「書いてみたが宣伝臭くなっていないか不安」という方は、当機構の無料相談をご活用ください。創業期の状況を伺いながら、メディアに響く切り口の整理からリリースの改善点まで、一緒に考えます。

この記事の運営・監修

一般社団法人 中小企業集客支援機構(本部:大阪市都島区)

「埋もれた価値を、社会の力へ」を理念に、中小企業・スタートアップのマーケティングを支援する非営利団体です。広告運用(Google/Meta/LINE)、SEO・コンテンツマーケティング、クラウドファンディング支援、EC・D2C支援を主な領域とし、全国の事業者の集客を伴走支援しています。

本記事は、当機構に寄せられる相談事例と支援現場での知見をもとに構成しています。制度・各社サービスの仕様は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトをご確認ください。

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この記事を書いた人

■監修・運営
一般社団法人 中小企業集客支援機構

■主な領域
・広告運用(Meta / Google / LINE)
・SEO / コンテンツマーケティング
・クラウドファンディング支援
・EC / D2C支援

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