会社案内と集客サイトは別物|ホームページの目的別の分け方と予算別の現実解

会社案内と集客サイトは別物|ホームページの目的別の分け方と予算別の現実解

「ホームページはちゃんと作ったのに、問い合わせがほとんど来ない」「リニューアルに数十万円かけたのに、成果が変わらない」——こうした悩みを抱える中小企業の経営者・担当者の方は少なくありません。会社概要も、サービス紹介も、実績も、採用情報も載せた。デザインもきれいになった。それでも反応がない。実はその原因の多くは、デザインでも文章量でもなく、ホームページの「目的」が整理されていないことにあります。

結論から言うと、会社案内サイト(コーポレートサイト)と集客サイトは、目的がまったく別物です。前者の目的は「信頼の担保」、後者の目的は「見込み客の獲得」。この2つを1つのホームページに詰め込むと、訴求がぼやけ、導線が分散し、どちらの役割も中途半端になりやすいのです。この記事では、両者の違い、詰め込んだときに起きる問題、LPやサービスサイトを併設して分ける具体的な方法、そして予算別の現実的な進め方までを整理して解説します。

この記事でわかること
  • 会社案内サイトと集客サイトの「目的」の違い(比較表つき)
  • 1つのホームページに両方詰め込むと起きる3つの問題
  • 自社のホームページの目的を30秒で判断するフロー
  • LP・サービスサイトを併設して「分ける」3つの方法と手順
  • 採用も含めたサイトの役割分担の設計図
  • 予算別(10万円〜150万円超)の現実解と数値シミュレーション
目次

ホームページの目的は1つではない——会社案内サイトと集客サイトの違い

「ホームページの目的は何ですか?」と聞かれて、即答できる経営者は意外と少ないものです。多くの場合、答えは「会社の顔として」「営業ツールとして」「採用のため」が混ざっています。まず押さえるべきは、目的が違えば、載せる情報・デザイン・評価指標まで全部変わるということです。

会社案内サイト(コーポレートサイト)の目的は「信頼の担保」

会社案内サイトを見に来るのは、すでに社名を知っている人です。取引先の与信担当、商談前に会社を調べる見込み客、応募を検討している求職者、金融機関の担当者など。彼らが知りたいのは「この会社は実在して、信頼できるか」。会社概要、代表挨拶、沿革、事業内容、実績、所在地——これらが整っていれば目的は果たされます。つまりコーポレートサイトは「守り」のサイトであり、新しいお客様を連れてくる機能は本来持っていません。

集客サイトの目的は「見込み客の獲得」

一方、集客サイト(LPやサービスサイト)を見に来るのは、社名を知らない人です。「外壁塗装 相場」「経理代行 料金」のように、悩みやサービス名で検索したり、広告をクリックしたりして流入します。彼らが知りたいのは会社の沿革ではなく、「自分の悩みが解決できるか」「いくらかかるか」「なぜこの会社に頼むべきか」。だから集客サイトは、1つのサービス・1つのターゲットに絞り込み、問い合わせや資料請求という行動(コンバージョン)まで一直線に誘導する「攻め」のサイトとして設計します。

比較項目会社案内サイト集客サイト(LP等)
目的信頼の担保(守り)見込み客の獲得(攻め)
主な訪問者社名を知っている人(取引先・求職者・金融機関)社名を知らない人(悩み・サービス名で検索)
主な流入経路社名検索・名刺のURLキーワード検索・Web広告・SNS
必要な情報会社概要・沿革・事業内容・実績悩みへの共感・解決策・料金・事例・お客様の声
成果指標情報の網羅性・正確さ問い合わせ数・CVR(成約率)・獲得単価
ページ構成複数ページで網羅1テーマに絞り縦長1ページ〜少数ページ
更新頻度低くてよい(変更時のみ)高い(数値を見て改善し続ける)
ポイント

2つは優劣ではなく役割の違いです。集客サイトから来た見込み客が、契約前に社名検索でコーポレートサイトを確認する——というように、両方が揃って初めて「集客→信頼→成約」の流れが完成します。

1つのホームページに両方詰め込むと何が起きるのか?

では、目的の違う2つを1つのホームページに同居させると何が起きるのでしょうか。当機構に寄せられる相談を整理すると、問題は大きく3つに集約されます。

問題1:訴求がぼやける——「全員向け」は誰にも刺さらない

1つのトップページで、見込み客・取引先・求職者・金融機関の全員を迎えようとすると、キャッチコピーは「お客様に寄り添う総合サービス」のような当たり障りのない言葉になりがちです。悩みを抱えて検索してきた見込み客は、自分の悩みに触れていないページを見た瞬間に離脱します。誰にでも向けたメッセージは、実質的に誰にも向いていない——これが詰め込み型ホームページの最大の弱点です。

問題2:導線が分散する——出口が多いほど行動されにくい

会社概要・事業案内・ニュース・採用情報・ブログ・問い合わせ……とメニューが並ぶほど、訪問者のクリックは分散します。例:広告で100人をトップページに集めても、そこから「サービス紹介→料金→問い合わせフォーム」と3クリック先までたどり着くのは一部です。各段階で半分ずつ離脱すると仮定すれば、フォーム到達は100人中12〜13人程度まで減る計算になります。一方、悩みに絞ったLPなら、ページを読み進めた先にボタンが1つあるだけ。選択肢を減らすことが、行動率を上げる最短の設計になり得ます。

問題3:検索エンジンとも広告とも相性が悪い

SEOの観点では、1つのページに複数のテーマが混在すると、検索エンジンが「何のページか」を判定しづらくなり、どのキーワードでも中途半端な評価になりやすい傾向があります。Web広告でも同じで、広告文と飛び先ページの関連性が低いと品質評価が下がり、クリック単価が割高になり得ます。「経理代行」の広告をクリックした人が会社トップページに着地して沿革を見せられる——これでは広告費が流れていくだけです。

当機構には「HPをリニューアルしたのに問い合わせが増えない」という相談が多く寄せられますが、話を伺うと大半は見た目の刷新だけで、目的の分離ができていないケースです。逆に、既存HPはそのままにLPを1枚足しただけで反応が変わった、という例も珍しくありません。

注意:採用にも悪影響が出る

詰め込み型は採用にも不利に働き得ます。求職者は「どんな人が働いているか」「待遇・社風」を知りたいのに、営業色の強いページに埋もれた採用情報1枚では魅力が伝わりません。売り込みと採用メッセージの同居は、どちらの読者にも違和感を残しやすいのです。

自社のホームページの目的はどっち?30秒でわかる判断フロー

自社サイトの立ち位置を確かめるには、次の3つの質問に答えてみてください。

  • Q1. サイト訪問者の大半は、社名を知ってから来る人か?——YESなら現サイトはコーポレートサイトとして機能しています。集客を望むなら別途、集客用の受け皿が必要です。
  • Q2. 「サービス名+地域」「悩みワード」で検索したとき、自社ページは見つかるか?——NOなら、悩みワードで戦う集客ページが存在していない状態です。
  • Q3. 問い合わせの発生源を答えられるか?——計測していない場合、そもそも集客サイトとしての運用が始まっていません。まずは計測設定から着手します。

3問ともYESと答えられない場合、いまのホームページは「会社案内としては合格でも、集客装置としては未整備」である可能性が高いと言えます。次章で、分けるための具体的な方法を見ていきましょう。

会社案内と集客を分ける3つの方法——LP・サービスサイト併設

「分ける」と言っても、既存ホームページを作り直す必要はありません。既存サイトは信頼担保の役割として残し、集客専用の受け皿を追加するのが基本方針です。方法は大きく3つあります。

方法概要費用目安(例)向いている会社
A:LP1枚を追加主力サービス1つに絞った縦長1ページを既存サイト配下や別ドメインに追加10万〜50万円まず1サービスで反応を検証したい会社
B:サービスサイト併設サービス専用の小規模サイト(5〜10ページ)を別に構築。SEO記事も蓄積50万〜150万円検索流入を中長期で育てたい会社
C:既存サイト内で分離既存サイトのサービスページ群を集客導線として再設計(ディレクトリ分離)20万〜80万円既存サイトにアクセス資産がある会社

どの方法でも、進める手順は共通です。制作会社に依頼する場合も、この順番を自社で押さえておくと要件がぶれません。

目的とKPIを1つに決める

「月に問い合わせ10件」のように、獲得したい行動と目標数を1つに絞ります。目的が2つある場合はページも2つに分けるのが原則です。

ターゲットと訴求を言語化する

誰の・どんな悩みを・どう解決するのかを1文にまとめます。既存顧客に「なぜ当社を選んだか」を聞くと、刺さる訴求が見つかりやすくなります。

LP・サービスサイトを制作する

悩みへの共感→解決策→選ばれる理由→事例・声→料金→FAQ→問い合わせ、の順で1本道の構成にします。出口(CTA)は1種類に絞ります。

導線接続と計測設定を行う

広告・検索からはLPへ、LPの会社情報リンクはコーポレートサイトへ。アクセス解析とフォーム計測を設定し、問い合わせの発生源を追える状態にして公開します。

採用も含めた「サイトの役割分担」をどう設計するか

集客の分離ができたら、次に考えたいのが採用です。人手不足の今、求職者の多くは応募前に会社を検索します。ここでも考え方は同じで、「求職者」という別のターゲットには、別の受け皿を用意するのが理想形です。中小企業なら、専用の採用サイトを作らずとも、コーポレートサイト内に採用専用ページ(社員の声・1日の流れ・待遇・社長メッセージ)を独立した導線で持つだけでも印象は変わります。

サイト/ページターゲット果たす役割ゴール
コーポレートサイト取引先・金融機関・契約前の確認者会社の実在と信頼の証明安心して取引・成約に進んでもらう
集客LP/サービスサイト悩みを検索する見込み客悩み解決の提案と行動喚起問い合わせ・資料請求・予約
採用ページ/採用サイト求職者働く姿と社風の伝達応募・カジュアル面談

重要なのは、それぞれのページが互いにリンクでつながっていることです。LPを見た見込み客が社名検索でコーポレートサイトに来て安心し、求人媒体を見た求職者が採用ページで社風を確かめる。役割を分けたうえで連携させることで、1つのサイトに詰め込むより全体の成果が高まりやすくなります。

予算別の現実解——いくらかけて、どれだけ返ってくるか

「分けたほうがいいのは分かったが、予算がない」——これが中小企業の本音でしょう。そこで、予算別に現実的な打ち手を整理します。

予算帯(例)現実的な打ち手ポイント
〜10万円ノーコードツールやCMSで自作LP+無料解析設定デザインより「誰に何を約束するか」の言葉を優先
10万〜50万円制作会社にLP1枚を外注+少額広告でテスト主力サービス1つに絞る。広告月3万〜5万円で反応検証
50万〜150万円サービスサイト構築+SEO記事+広告運用短期は広告、中期は記事で流入源を二本立てに
150万円〜コーポレート・集客・採用の3層を全面設計全体設計図を先に描き、優先順位をつけて段階発注

数値シミュレーション:LPを分けると問い合わせ単価はどう変わるか

例として、月5万円の広告費で月1,000人を集客するケースを考えます(クリック単価50円と仮定)。飛び先が総合トップページでCVR(問い合わせ率)0.3%なら、問い合わせは月3件、1件あたりの獲得単価は約16,700円。同じ広告費で、悩みに絞ったLPに着地させてCVRが1.0%に改善すれば、問い合わせは月10件、獲得単価は5,000円まで下がる計算です。

1,000人
月間集客数(共通)

0.3%→1.0%
CVRの変化(例)

3件→10件
月間問い合わせ数

約1/3
問い合わせ獲得単価

計算式

問い合わせ数 = 訪問者数 × CVR
獲得単価 = 広告費 ÷ 問い合わせ数
例:50,000円 ÷(1,000人 × 1.0%)= 5,000円/件。数値は説明用の例であり、業種・単価・地域により変動します。まず自社の現状CVRを計測することが出発点です。

LP制作に30万円かけても、獲得単価が下がれば数カ月〜1年で回収し得る——という視点で投資判断をするのが現実的です。「制作費が高いか安いか」ではなく、「1件の問い合わせをいくらで獲れるようになるか」で比べることをおすすめします。

分けた後に成果を落とさない運用チェックリスト

サイトを分けることはスタートであってゴールではありません。公開後は、次のチェックリストで月1回の点検をおすすめします。

  • 広告・検索からの着地先が、総合トップではなく目的別ページになっているか
  • 各ページのCTA(問い合わせボタン等)は1種類に絞れているか
  • 問い合わせの発生源(どのページ・どの経路か)を計測できているか
  • LPの数字(訪問数・CVR・獲得単価)を月次で記録し、前月と比較しているか
  • コーポレートサイトの会社情報・実績が最新に保たれているか
  • LP⇄コーポレート⇄採用ページの相互リンクが機能しているか

特にCVRの記録は重要です。数字がなければ改善のしようがなく、数字さえあれば「見出しを変える」「事例を足す」といった小さな改善の効果を検証できます。集客サイトは作って終わりではなく、育てる資産と捉えてください。

よくある質問(FAQ)

会社案内サイトと集客サイトは、必ず分けないとダメですか?

必須ではありません。紹介や既存取引だけで十分に仕事が回っているなら、コーポレートサイト1つで足りるケースもあります。ただし「Webから新規の問い合わせを増やしたい」という目的があるなら、目的別にページを分けたほうが成果につながりやすい、というのが実務上の傾向です。

LPだけ作って、コーポレートサイトは無くてもいいですか?

おすすめしません。LPで興味を持った見込み客の多くは、契約前に社名で検索して会社の実在を確かめます。そのときに受け皿がないと不安を与え、成約を逃しやすくなります。簡易的でも会社概要・実績・所在地が確認できるコーポレートページは用意しておくと安心です。

集客サイトは同じドメインと別ドメイン、どちらがいいですか?

一概には言えませんが、SEOで育てたい場合は既存ドメイン配下(サブディレクトリ)にすると、ドメインの評価を引き継ぎやすい傾向があります。広告専用LPであれば別ドメインでも運用上の支障は少ないです。事業ブランドを独立させたい場合は別ドメインも選択肢になります。

制作会社にはどう依頼すれば失敗しにくいですか?

「かっこいいHPを作りたい」ではなく、「このサービスで月◯件の問い合わせを獲りたい」と目的とKPIから伝えることです。ターゲット・訴求・成果指標を発注前に文書化しておくと、デザイン重視の提案に流されにくくなります。集客実績(CVRや獲得単価の改善事例)を持つ会社かどうかも確認しましょう。

採用サイトも別に作るべきですか?

採用人数や職種が多い会社は専用サイトの効果が出やすいですが、中小企業ではまずコーポレートサイト内に独立した採用ページ(社員の声・仕事内容・待遇・写真)を充実させるのが費用対効果の高い現実解です。応募が増え、採用が経営課題の中心になった段階で専用サイト化を検討すれば十分です。

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まとめ:ホームページは「目的」から逆算して分ける

会社案内サイトの目的は信頼の担保、集客サイトの目的は見込み客の獲得。この2つは別物であり、1つのホームページに詰め込むと、訴求のぼやけ・導線の分散・検索や広告との相性悪化という形で、どちらの成果も損なわれやすくなります。解決策は、既存サイトを壊すことではなく、目的別に受け皿を分けて連携させること。予算10万円台のLP1枚からでも始められ、問い合わせ獲得単価という数字で投資回収を判断できます。まずは「自社のホームページの目的は何か」を1つに言語化するところから始めてみてください。

「自社の場合はどう分けるのが最適か」「今のHPを活かせるのか作り直すべきか」など、個別の状況によって最適解は変わります。当機構では、中小企業の予算感に合わせたサイトの役割分担・集客導線の設計について無料相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。

この記事の運営・監修

一般社団法人 中小企業集客支援機構(本部:大阪市都島区)

「埋もれた価値を、社会の力へ」を理念に、中小企業・スタートアップのマーケティングを支援する非営利団体です。広告運用(Google/Meta/LINE)、SEO・コンテンツマーケティング、クラウドファンディング支援、EC・D2C支援を主な領域とし、全国の事業者の集客を伴走支援しています。

本記事は、当機構に寄せられる相談事例と支援現場での知見をもとに構成しています。制度・各社サービスの仕様は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトをご確認ください。

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この記事を書いた人

■監修・運営
一般社団法人 中小企業集客支援機構

■主な領域
・広告運用(Meta / Google / LINE)
・SEO / コンテンツマーケティング
・クラウドファンディング支援
・EC / D2C支援

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