「うちはサービスが3つあるから、1枚のLPに全部載せて効率よく見せたい」——LP(ランディングページ)を作るとき、多くの中小企業がこう考えます。制作費は1ページ分で済み、訪問者にはすべての商品を知ってもらえる。一見合理的に思えるこの判断が、実は成約率(CVR)を大きく下げる原因になっているケースが少なくありません。
結論からお伝えすると、LPは「1商品(1オファー)につき1ページ」が原則です。複数のサービスを1枚に詰め込むほど、訪問者は「自分に関係あるページなのか」を判断できなくなり、離脱しやすくなります。この記事では、選択肢が増えると人が決められなくなる心理メカニズムから、複数商材を扱う場合の設計パターン比較、広告キーワードとLPを一致させる実務、数値シミュレーション、そして例外的に複数掲載が許されるケースまで、順を追って解説します。
- LPが「1商品1ページ」を原則とする心理学的・構造的な理由
- 複数サービスを1枚に載せると成約率が下がる3つのメカニズム
- LPを分けた場合のCV数・CPAの変化を試算した数値シミュレーション
- 複数商材がある場合の設計パターン3種(総合1枚型・LP分割型・入口分岐型)の比較
- 広告キーワード×LPの一致(メッセージマッチ)が広告費に与える影響
- 例外的に1枚へ複数の商品を載せてよいケースの見分け方
なぜ「LPは1商品1ページ」が原則なのか?
まず前提を整理します。LPとは、広告やSNS、メールなどから訪れた人を「たった1つの行動(申込・購入・問い合わせ)」に導くことだけを目的にしたページです。会社の情報を網羅的に見せるホームページ(コーポレートサイト)とは、役割がまったく違います。
LPとホームページは「目的」が違う
| 比較項目 | LP(ランディングページ) | ホームページ |
|---|---|---|
| 目的 | 1つの行動(CV)に導く | 会社・事業全体を知ってもらう |
| 掲載する商品 | 原則1つ(1オファー) | すべて掲載してよい |
| ナビゲーション | 基本なし(出口はCTAのみ) | グローバルメニューあり |
| 訪問者 | 特定の悩み・目的を持った人 | 目的がさまざまな人 |
| 成果指標 | CVR(成約率)・CPA | 回遊・指名検索・信頼形成 |
この違いを押さえると、「複数サービスを1枚のLPに載せる」という発想が、LPにホームページの役割を混ぜてしまう行為だとわかります。訪問者は特定の悩みを抱えて広告をクリックしてきているのに、ページを開いた瞬間に「A事業もB事業もC事業もやっています」と総合案内を見せられたら、「自分の悩みに答えてくれるページではなさそうだ」と判断して数秒で離脱する傾向があります。LPの勝負は最初の数秒のファーストビューで決まると言われるのは、このためです。
選択肢が増えると人は決められない——「決定回避」の心理
「たくさん選択肢を見せたほうが親切ではないか」という感覚は、心理学の知見とは逆です。人は選択肢が多いほど選べなくなり、「選ばない(=離脱する)」という一番ラクな選択に流れます。これは「決定回避の法則」「選択のパラドックス」と呼ばれる現象です。
有名な「ジャムの実験」が示すこと
コロンビア大学の研究者らが行った有名な実験では、スーパーの試食コーナーに24種類のジャムを並べた場合と6種類だけ並べた場合を比較したところ、試食に立ち寄る人は24種類のほうが多かったにもかかわらず、実際に購入した割合は6種類のほうが約10倍高かったと報告されています。選択肢の多さは「興味を引く力」にはなっても、「決断させる力」にはならない——むしろ決断を妨げるということです。
LPで起きる「認知負荷」の問題
複数サービスが載ったLPを開いた訪問者の頭の中では、「どれが自分向け?」「AとBは何が違う?」「比較してから決めたほうがいい?」と、本来不要だった検討事項が一気に増えます。この頭の負担(認知負荷)が一定を超えると、人は判断を先送りします。Webページの場合、先送りとは「ブラウザを閉じる」ことであり、閉じたページに戻ってくる人はごくわずかです。1商品1ページの原則は、この認知負荷を最小化し、訪問者の検討事項を「この商品を申し込むか、否か」の1つだけに絞るための設計思想です。
複数サービスを1枚に載せると成約率が下がる3つの理由
心理面に加えて、LPの構造面でも成約率が下がる理由が3つあります。
理由1:メッセージが薄まり「刺さらない」ページになる
LPの成約率は「誰の・どんな悩みを・どう解決するか」をどれだけ深く掘り下げられるかに左右されます。1商品なら、ターゲットの悩み・ベネフィット・実績・お客様の声・FAQを1つの筋で積み上げられます。ところが3商品を1枚に載せると、紙面(スクロール量)は3分割され、1商品あたりの説得材料は3分の1以下になります。どの商品についても「浅い紹介」で終わり、誰の心にも深く刺さらないページになりがちです。
理由2:CTA(行動喚起)が分散し、導線が迷路になる
商品が3つあれば、申込ボタンも「Aを申し込む」「Bを申し込む」「Cを申し込む」と3系統必要になります。訪問者はボタンを押す前に「どれにするか」という選択を強いられ、ここでも決定回避が発動します。さらにフォームも商品選択欄が必要になって入力項目が増え、フォーム到達後の完了率(EFOの指標)まで下がるという二重の損失が起こり得ます。
理由3:広告キーワードとの一致度が下がり、広告費が割高になる
LPは広告とセットで機能します。「経理代行」と検索した人に見せるべきは経理代行だけを語るLPであって、経理代行・採用支援・Web制作が並んだ総合ページではありません。検索キーワード・広告文・LPの内容が一致しているほどGoogle広告の品質評価は上がりやすく、逆に総合LPは関連性が低いと判定されてクリック単価が割高になったり、表示機会を失ったりする傾向があります。詳しくは後述の「広告との連動」で解説します。
数値シミュレーション:LPを分けると成果はどう変わる?
「例:」として、3つのサービスを持つBtoB企業が月30万円の広告費で集客するケースを試算してみます(数値はあくまで説明用のモデルです)。
広告費 月30万円/平均クリック単価100円 → 月3,000クリック。
総合1枚型LPのCVR=0.5%、商材別に分けたLPのCVR=1.2%と仮定(複数掲載のLPを商材特化に作り替えるとCVRが2倍以上になる例は珍しくありません)。
CV数=クリック数×CVR、CPA=広告費÷CV数で計算します。
| 項目 | 総合1枚型LP | 商材別LP(3枚に分割) |
|---|---|---|
| 月間クリック数 | 3,000 | 3,000(各LPに振り分け) |
| CVR(例) | 0.5% | 1.2% |
| 月間CV数 | 15件 | 36件 |
| CPA(顧客獲得単価) | 20,000円 | 約8,333円 |
| 同じCV数に必要な広告費 | 30万円で15件 | 約12.5万円で15件 |
0.5%
総合1枚型のCVR(例)
1.2%
商材別LPのCVR(例)
2.4倍
月間CV数の差
▲58%
CPAの削減幅
同じ広告費・同じクリック数でも、LPの設計だけでCV数は2.4倍、CPAは半分以下になり得る——これがLPを分ける最大の理由です。商材別LPは制作費が3ページ分かかりますが、上記の例ならCPAの差額(月あたり約17.5万円相当の広告費削減効果)で、数カ月で制作費を回収できる計算になります。逆に言えば、総合1枚型で広告を回し続けることは、毎月見えない形で広告費を余分に払い続けることを意味します。
複数商材がある場合の設計パターン比較——LPを分けるか、入口を分けるか
では、実際に複数のサービスを持つ会社はどう設計すべきでしょうか。代表的な3パターンを比較します。
| パターン | 構成 | 向くケース | 成約率の傾向 | 制作コスト |
|---|---|---|---|---|
| A:総合1枚型 | 1枚のLPに全商材を掲載 | 予算が極端に限られる初期のみ | 低くなりやすい | 小 |
| B:商材別LP分割型 | 商材ごとに専用LPを制作 | 広告で集客する場合の基本形 | 高くなりやすい | 中〜大 |
| C:入口分岐型 | 短い振り分けページ+各専用LP | 指名検索・SNS等で入口を1つにしたい場合 | 中〜高 | 中 |
基本はB「商材別LP分割型」を選ぶ
広告からの流入を前提とするなら、Bが基本です。商材ごとにターゲットの悩みを深掘りした専用LPを用意し、広告グループもLP単位で分けます。すべての商材のLPを一度に作る必要はありません。まず主力商材1つの専用LPから始め、成果を確認しながら順次追加すれば、初期投資を抑えられます。
入口を1つにしたいならC「入口分岐型」
チラシ・名刺・SNSプロフィールなど「URLを1つしか載せられない媒体」からの流入には、Cの入口分岐型が有効です。トップに「あなたのお悩みはどれですか?」と2〜3択の分岐だけを置き、選んだ先でそれぞれの専用LPに誘導します。分岐ページ自体では売り込まず、「振り分け」に徹するのがポイントです。ここで各商材の説明を書き始めると、結局は総合1枚型と同じ問題が起こります。
当機構にも「LPはあるのに問い合わせが来ない」という相談が多く寄せられますが、拝見すると会社案内型の総合ページに広告を流しているケースが目立ちます。主力商材だけの専用LPに作り替え、広告キーワードもそのLPに合わせて絞り込んだところ、広告費は同じままで問い合わせ数が明確に増えた、という事例は一つや二つではありません。
広告との連動——「KW×LPの一致」が広告費と成約率を左右する
1商品1ページの原則は、広告運用と組み合わせたときに真価を発揮します。鍵になるのが「メッセージマッチ」=検索キーワード・広告文・LPの三者を一致させることです。
品質スコアとクリック単価への影響
Google広告には、キーワードと広告・LPの関連性などを評価する「品質スコア」の仕組みがあり、評価項目には「ランディングページの利便性」が含まれます。検索意図に合致した専用LPは評価が上がりやすく、同じ入札額でも上位に表示されやすくなり、結果としてクリック単価が抑えられる傾向があります。総合LPは「ページ内に関連情報が薄い」と判定されやすく、広告費の面でも不利に働き得ます。
「広告文で約束したことをLPの冒頭で受ける」
実務上のチェックポイントはシンプルです。広告文に書いたキーワードとベネフィットが、LPのファーストビュー(キャッチコピー)にそのまま登場するか。「経理代行 月3万円〜」という広告をクリックした人が、LPの冒頭で同じ言葉を見つけられれば「探していたページだ」と安心して読み進めます。見つけられなければ数秒で戻るボタンを押します。広告グループ1つにつきLP1枚を対応させる運用が、この一致を保つ最も確実な方法です。
複数商材のLP体制を作る5ステップ
実際にLPを分けて運用に乗せるまでの手順を、5つのステップで整理します。
利益率・受注しやすさ・検索需要の3軸で商材を評価し、最初に専用LPを作る主力商材を1つ選びます。全商材を同時に作らないことが、費用と検証スピードの両面で重要です。
「誰の・どんな悩みか」を商材ごとに言語化し、対応する検索キーワードを洗い出します。ここで定義したキーワードが、LPのキャッチコピーと広告文の共通言語になります。
1オファー・1CTAの原則で構成します。キャッチコピー→悩みの代弁→解決策→実績・お客様の声→料金→FAQ→申込フォームという王道の流れで、他商材への言及やリンクは置きません。
広告グループ1つ=LP1枚の対応で配信を開始し、CVR・CPAを商材別に計測できる状態を作ります。総合ページ時代の数字が残っていれば、改善幅を比較する基準(ベースライン)として記録しておきます。
主力商材のLPでCVRとCPAの目安がつかめたら、同じ型を使って2商材目のLPを制作します。1本目で検証済みの構成を流用できるため、2本目以降は制作コストも期間も圧縮しやすくなります。
例外はある?1枚に複数を載せてよいケース
原則には例外もあります。次のようなケースでは、1枚のページに複数の「選択肢」が載っていても成約率を損ないにくいと考えられます。
- 同一商品の料金プラン(松竹梅):ライト・スタンダード・プレミアムのような同一オファー内のプラン提示は、むしろ3択にすると真ん中が選ばれやすくなる(松竹梅効果)ため有効です。
- セット販売・パッケージ:複数サービスを「1つの組み合わせ商品」として売る場合は、オファーとしては1つなので原則に反しません。
- 指名検索の受け皿ページ:社名で検索してくる人は会社全体を知りたい段階なので、総合的なサービス紹介(=ホームページ)が適しています。これはLPの役割ではありません。
- 比較検討段階向けの記事型ページ:「◯◯の選び方」のような情報収集層向けコンテンツは複数選択肢の提示が前提であり、そこから各専用LPへ誘導する設計が自然です。
共通するのは、「オファー(訪問者に求める決断)が1つに保たれているか」という基準です。プランが3つ並んでいても「この商品を申し込む」という決断は1つ。一方、性質の異なる3事業が並ぶと決断そのものが3方向に割れます。迷ったら「このページで訪問者にしてほしい決断は1つに絞れているか?」と自問してみてください。
よくある質問(FAQ)
- 商品が10個ある場合、10枚のLPをすべて作るべきですか?
-
いいえ、一度に全部作る必要はありません。利益率・受注しやすさ・検索需要で優先順位を付け、まず主力の1〜2商材の専用LPから始めるのが現実的です。1本目で成果の出る構成を検証してから横展開すれば、制作費も期間も抑えられます。広告を出さない商材はホームページ内のサービスページで紹介する形でも十分です。
- ホームページがあればLPは不要ではないですか?
-
役割が違うため、広告で集客するならLPが必要です。ホームページは会社全体を知ってもらう場所、LPは特定の悩みを持つ人を1つの行動に導く場所です。広告のリンク先をホームページのトップにすると、訪問者が自分でサービスページを探す手間が生じ、その途中で離脱しやすくなる傾向があります。
- 松竹梅の3プランを1枚のLPに載せるのは原則違反ですか?
-
違反ではありません。1商品1ページの「1」はオファー(訪問者に求める決断)の数を指します。同一商品の料金プランが3つ並んでいても、決断は「この商品を申し込むか」の1つです。むしろ3プラン提示は中間プランが選ばれやすくなる効果が知られており、価格の納得感を高める設計として有効です。
- LPを商材別に分けると制作費が増えます。費用対効果は見合いますか?
-
広告を継続的に出稿するなら、見合うケースが多いと考えられます。本文のシミュレーション例のように、CVRの改善はCPA(顧客獲得単価)の削減として毎月効き続けるため、広告費が月数十万円規模なら数カ月で制作費を回収できる計算になることも珍しくありません。まず主力1商材だけ分けて効果を実測し、数字で判断するのがおすすめです。
- LPのCVRはどのくらいが目安ですか?
-
業種・商材・流入経路によって大きく異なりますが、一般に検索広告経由のLPで1〜3%程度が一つの目安とされることが多いです。総合1枚型で1%を下回っている場合は、商材特化への作り替えで改善する余地が大きいと考えられます。大切なのは他社平均との比較よりも、自社の現状値を計測し、改善前後で比較することです。
あわせて読みたい



まとめ:LPは「1つの悩みに、1つの答えを、1つの行動で」
LPは1商品1ページが原則です。選択肢が増えるほど人は決められなくなり、複数サービスを1枚に載せるとメッセージの希薄化・CTAの分散・広告との不一致という3つの理由で成約率が下がりやすくなります。複数商材がある場合は、主力商材の専用LPから始める「商材別LP分割型」を基本に、入口を1つにしたい媒体には「入口分岐型」を組み合わせるのが定石です。判断に迷ったら「このページで訪問者に求める決断は1つか?」を基準にしてください。同じ広告費でも、LPの設計次第で成果は大きく変わり得ます。
「自社のLPが総合型になっている」「どの商材から専用LPを作るべきか判断できない」という方は、当機構の無料相談をご利用ください。商材の優先順位付けから、LP構成・広告キーワードとの連動設計まで、限られた予算で成果につながる順番をご提案します。
一般社団法人 中小企業集客支援機構(本部:大阪市都島区)
「埋もれた価値を、社会の力へ」を理念に、中小企業・スタートアップのマーケティングを支援する非営利団体です。広告運用(Google/Meta/LINE)、SEO・コンテンツマーケティング、クラウドファンディング支援、EC・D2C支援を主な領域とし、全国の事業者の集客を伴走支援しています。
本記事は、当機構に寄せられる相談事例と支援現場での知見をもとに構成しています。制度・各社サービスの仕様は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトをご確認ください。

